2009年2月13日金曜日

ヴァレンタインデイ

節分がすんだと思ったらもうヴァレンタインデイだ. 皆さんはチョコレートを連想するだろうが, 私の場合はShakespeareの戯曲のHamletにあるOpheliaの歌である.

4幕5場ですでに正気を失っているOpheliaが歌う. 「明日はヴァレンタイン」と. とりあえずは明日がヴァレンタインデイから連想したのだが, もう少し続ける.

To-morrow is Saint Valentine's day,
All in the morning betime,
And I a maid at your window,
To be your Valentine.
Then up he rose, and donn'd his clothes,
And dupp'd the chamber-door;
Let in the maid, that out a maid
Never departed more.

小田島訳はこうだ.

ヴァレンタインのお祭の日は
  朝早くからいそいそと,
恋しい人の窓辺に立って
  乙女の胸をときめかす.
恋しい人は部屋の戸開けて
  迎え入れるの手をとって
入った娘が出てくるときは
  もはや娘じゃないからだ.

逍遥訳はこうだ.

あすは十四日ワ"レンタインさまよ,
門(かど)へ行こぞや, 引明方に,
ぬしのお方はなろずもの.
それと見るより門の戸あけて,
ついと手を取り引入れられたりゃ
純潔(うぶ)な處女(むすめ)ぢゃ戻られぬ.

この2人の訳にはいつも時代の変遷を感じる.

このあたりのOpheliaのセリフはひたすら悲しい. そして5幕7場の王妃のセリフも嘆きに溢れている. 有名なMillaisのOpheliaの絵はこのセリフに基づいている.

ところでOpheliaの「valentine」をどうやって探すかだ. 私はアメリカ滞在中に求めた, 1600ページもの「The Harvard Concordance to Shakespeare」を持っているので, 検索はいつでも出来る. Concordanceはコンピュータ屋の言葉ではKWICインデックスである. これで「valentine」を引くと, Hamletには上記の2語しか見つからない. 驚くことに「valentine」が50回以上現れる戯曲があった. Two Gentlemen of Veronaである. この2人の紳士のうちの1人がValentine君であった.

ブラウザがあれば, 検索は簡単だ. http://shakespeare.mit.edu/へ行くとcommediy(喜劇), history(史劇), tragedy(悲劇)の目次があり, 例えばそこで悲劇のHamletへ行く. 左上にEntire play in one pageというリンクがあり, それで全体を取り込み, 検索するのである.

このURLを忘れたら, complete works of shakespeareでgoogleサーチすればよい.

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