2010年1月4日月曜日

微分解析機

微分解析機の加算装置に, 車のデフ型でなく, 遊星歯車型の差動歯車を使う話を書いたが, 正月休みにもう少し定量的に理解したいと思った.

遊星歯車の動き方のアニメーションがここここにある. でもこのくらいは自分で描きたい.

まず各歯車の動き方を調べた. 下の図で, 周囲の大きい円が外側の内歯車(歯が内側を向いている), その半分の半径の中央の円が太陽歯車Sである. 右の小型の円が衛星歯車で, 真横にあるのが最初の位置Pである.



太陽と衛星歯車は, AとBで, 衛星歯車と内歯車は, CとDで接している. 太陽歯車がA'まで廻転し(回転角をφ), 衛星キャリヤがP'まで来た時, キャリヤの廻転角をθとする. この時, 遊星歯車と内歯車はC"とD"で接している. その移動中に接した歯車は円弧DD"とC'C"でこの長さは等しい. 一方AとBはすでにA'とB'まで移動していて, 今はA"とB"で接している. この方の移動中に接した歯車は円弧A"A'とB"B'でこれも前の長さに等しい.
内歯車, 太陽歯車, 遊星歯車の半径をそれぞれ, R, r, ρ; B"P'B'の角をαとする.
DD"=Rθ=C'C"=ρα=B"B'=A"A'=r(φ-θ)
従ってキャリアの廻転角は θ=φr/(R+r);
衛星歯車の廻転角は α=θR/ρ=φRr/(R+r)ρとなる.

一方, 太陽歯車を固定し, 内歯車をψだけ廻転すると, キャリヤの廻転角θも同様に計算出来る.

θ=ψ*R/(R+r);
α=-ψ*Rr/(R+r)ρとなる.

この両者を合わせ, 太陽歯車の廻転角 φと内歯車の廻転角 ψから, キャリヤの廻転角θは
θ=φ*r/(R+r)+ψ*R/(R+r);
遊星歯車の廻転角αは
α=(φ-ψ)*Rr/ρ(R+r).

前回の歯車の図や, 上の図ではR=200,r=100,ρ=50なので,
θ=φ/3+2*ψ/3;
α=4*(φ-ψ)/3となる.

例えば, 太陽歯車を90度進めると, φ=90からθ=30度, α=120度(上の図). 次に内歯車を90度進めて追い付くと, ψ=90からθ=60度, α=-120度で, キャリヤも90度まで進み, 衛星歯車も最初の接していた両側の点で再び接するようになる.

通信機用のバリコンのつまみは, 太陽歯車に相当し, バリコンはキャリヤ軸についていたとすると, 1/3の減速になるのであった.

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