2010年11月17日水曜日

楕円コンパス(つづき)

Leonardo da Vinciは放物線のためのコンパスも考案した. この方はたまたまウェブに図があった(http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/art_review/38/big/05.html)ので, 借用させていただく.



前回のブログの最後に書いたように, 離心率が大きい(=1に近い)と楕円コンパスは苦しくなる. 放物線は離心率が1なので, 発想の転換が必要だ. そこでda Vinciは別の機構を考えたのであろう.

こちも原理は楕円の場合と同じである. 円錐を母線と平行な面で切ると放物線になる性質を利用している. 前回の図で, 切断面が母線と平行になると, 上の球は作図出来るが, 下の球は存在しない. つまり焦点は1つになる.



放物線コンパスの仕掛けを上の図で説明しよう.

ACは鉛直な回転軸である. Cを頂点とし, 底面が円DQEFの円錐を考える. 回転軸を支えるのに, CD, CE, CFの3本がある. 3本の足は, 別に母線に合っている必要はないが, da Vinciの図がなんとなくそうなっているのに従った.

P点に筆記具をつけた伸縮自在の腕 BPは, 母線に沿って回転し, PはDからスタートしてPへ至り, さらにEまで進む. すると放物線DPEが描けるのである.

円錐の角度を一定に保つために, GHがある. 模型で見るように, 放物線を描く面は, 母線と平行に傾けてある. その面の上をPが伸縮しながら放物線を描くのである. 筆記具を平面に押し付けるためか, CPの中間に錘りがぶら下がっているのも面白い.

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