2011年9月2日金曜日

整数立方根

平方根に較べ, 立方根はおおいに疎外されている感があるが, 立方根を計算したいこともある.

その場合, 実用的には
(expt 9270 (/ 1 3)) => 21.00680051861007
なことで済ませてしまう.

さて, Warrenの「ハッカーの楽しみ」を眺めていたら, 整数立方根という話題があった(訳書の226ページ). こういうプログラムが書いてある(32ビット用だ).



同書の巻頭の「推薦の辞」に私が書いたように, 本書にはそのアルゴリズムでよい理由が殆んど書いてない.

このアルゴリズムは下の説明のように出来ているのだ.

例によってSchemeに書き直すと




最初のsの設定が30でなく18なのは, そんなに大きい数でテストすることもないからだ. また最後にyだけでなく, xも返すのは, 余りも欲しいからである.

途中の経過を見るdisplayが3行ある. 9270の立方根を計算してみる.



すなわち, 立方根は21で, 剰余が9. 整数の範囲で開立をやめ, 剰余が得られるから, 整数立方根というわけである. 同じものを十進法で書くと,



つまりbの始めの方は, xより小さくなるまで218, 215, 212,... と減っていき, 4096がxより初めて小さくなった時点でyを1とする. yは最後は二進で10101だが, その最初の1(=24)が決ったのである.

xの方はそれを引いて, 9270-4096=5174になった.

次はyのその下のビットを1にするか, 0にするかを決めることである. y=16の時, その下のビットは8だから(16+8)3=163+3*162*8+3*16*82+83=13824

しかし, 最初の4096はすでに引いてあるので, 比較するbは, 上の4段目の13824-4096=9728である. こうするよりは, y=2, (y+1)3-y3=3y(y+1)+1を作り, 左シフトする方が楽というのが, プログラムの趣旨であろう.

8のビットは立たなかった. 次は4のビットで, (16+4)3-163=3904である. これはxより小さいからyは1増えて101になった.

このようにしてyのビットを上から次々を立てていき, 1ビットごとにきめていく. 最後に残ったxが開立の剰余である.

このプログラムの場合は, 方針は最初から見え見えであったが.

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