2013年5月10日金曜日

閏月

太陰太陽暦(lunisolar calendar)では「閏四月」というようなのがある. 12朔望月が1太陽年より短いから臨時に挿入する月だが, Calendrical Calculationsに9,10,11,1月の閏は稀で, 12月の閏はほとんどないと書いてあった. まぁ近日点に近いからとは思うが調べてみることにした. (英語では閏月をintercalary monthというらしい.)

インターネットで探したら旧暦を計算してくれるページがあった.

そこで早速1995年から2013年までの旧暦の各月の1日が太陽暦の何月何日かを書き出した.

表の上の方, 旧暦1995年1月1日は新暦の1月31日であると読む. 8月の所に2段あるのは, 旧暦8月1日は新暦8月26日. 旧暦閏8月1日は新暦9月25日であるということだ.



この期間に閏月は2月に1回, 3月に1回, 4月に1回, 5月に2回, 7月に1回, 8月に1回あり, 確かに9月から1月までには, 稀などころかまったくなかった.

また, 1995年から2013年までは19年あり, いわゆる19年7閏法のとおりに閏月が7回あることも確認できた.

(こんな苦労をせずとも私の書棚の「新こよみ便利帳」には1870年から2020年までの対照表があった. それを見ると明治6年(1873年)は閏6月があり, 13ヶ月なので, 政府が13ヶ月分の月給を払いたくないから新暦に改正した理由も分かる. 2033年の閏月は例外的といわれているが, そこまでは表がない.)

そもそも閏月はどこに入れるかをおさらいしよう.

A)1年の時間軸上に, 太陽と月の黄経が一致する時刻(朔)を決める.
B)平均太陽の南中時刻の12時間前から12時間後までを1暦日とする.
C)朔の時刻を含む暦日から次の朔の時刻を含む暦日の前の暦日までを1暦月とする.
一方,
D)太陽の黄経が30度の倍数になる時刻を中気という.
0 春分 30 穀雨 60 小満 90 夏至 120 大暑 150 処暑 180 秋分 210 霜降 240 小雪 270 冬至 300 大寒 330 雨水
春分を含む暦月を2月, 夏至を含む暦月を5月, 秋分を含む暦月を8月, 冬至を含む暦月を11月とし, その前後に中気を含む月の名前を決める.

1朔望月は29.5日, 中気の平均間隔は30.5日なので, 中気の割り当てられない暦月ができることがある. それを閏月として前の月の名前の上に閏をつける.

こういうわけだから, 閏月はどこにでも入り得るが, そうならないのは中気と中気の間隔(solar monthと書いてあったりする)が一定ではないからである. 地球が一定の角速度で公転するなら, 黄経が30度増える時間は一定であるが, Keplerの法則で地球が近日点付近にいる時は角度の増え方が大きく, 従って中気の間隔が短かく, solar monthの中に暦月がすっぽり入る確率が小さい. (正確に計算すると2033年のようなことも起きるが.)

この話は森口繁一先生の「数理つれづれ」にも書いてあるが, 自分で計算したのは私のブログ2008年6月25日の「夏至の日に」に書いた.

なお, 春分の暦月を2月にするということは, 春分が2月の後半にあるならその45日前の立春は1月にある, つまり新年立春のわけだし, 前半にあるなら立春は12月にある, つまり年内立春のことになり, 古今和歌集の「年のうちに春は来にけり」も確率1/2なことが理解できる.

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