2015年3月28日土曜日

復活祭公式

今年の復活祭が間もなくだ. 今年はそれもその前の晩に月食があるという豪華版だ. とはいえ私は宗教には無関心で, 復活祭はこのブログに何度か書いたようにその日取りについてだけ興味がある.

復活祭が何かも知らぬ小学校の上級のころ, 大叔父が「今日は復活祭だよ」といい, 手元のSOD(Standard Oxford Dictionary)を開きながら「春分の後の満月の後の日曜」と不思議なことをいったのが興味を持ったきっかけであった.

長ずるに及び, 折がある度に復活祭の日程計算の資料を取り込んできた. ずいぶんいろいろなことが分かってきたが, 今回話題とするのは, 我が愛読書「Calendrical Calculations」の8章The Ecclesiastical Calendarsの扉のページにあるFinger calculation for the date of Easterについてである.


この図の周囲には1582年から1699年, 1700年から1799年, 1800年から1899年の黄金数に対する歳首月齢(epact)の表とドミノ文字(dominical letter)の表があり, もちろん何語か知れぬが(恐らくスペイン語)使い方の記述もある.

最初の表は下のようだ.


[1582]つまりグレゴリオ改暦の年は, 黄金数が6, ドミノ文字がGであったことが分かる. 他にもこういう年の表示が5カ所あるが, 解像度が悪く判読できない.

ドミノ文字は毎年と閏日に1文字ずつ前へ戻る. 従って表を右端から眺めるとまずD, その前年が閏年で3月以降がE, 1,2月がF, 更にその前年がGのようになる.

最後がBからGになるのは改暦のせいだ. 改暦で10日抜けたから, 普通なら1582年のGから1583年はFになるのだが, G,A,Bと3(10 mod 7)日分進み, Bになっている. ここをCに書き直すと, この表は28個の場所があるから, ドミノ文字の一周分になることが分かる.

さて, 1600年はこの表の右端で, 黄金数は(modulo 1600 19)→4だからそれに1足して5. よって歳首月齢は, 5の下の段を見て15. 1月1日の曜日は(modulo (+ 1 (jd 1600 1 1)) 7)→6 だから土曜で, B. 表では右から10個めのABと上下に並ぶのの下3月は下のAになる.

1600年の復活祭は別の資料を見ると4月2日であった.

ここで手の掌の図を見る. 指の内側にあるのが歳首月齢なので, 15を探すと人差し指の左縁のDとある内側に15が見える. そこから右に指の縁を辿り, 最初のドミノ文字Aを探し, その位置を覚えておく.

次に親指の左縁のDのところに22とあるが, これを3月22日として右へ23日, 24日,...と先ほど覚えた位置まで進むと, そこが4月2日になるのである.

指の形はどうでもいいらしいから, 指の縁を直線に延ばして描いたのが次である. 上の線の右端から下の線の左端へ繋がる.

これを見ると歳首月齢が一通り書いてあり(*や24,25だったり,XXVは今は無視), その右隣からドミノ文字が一週分書いてあるのが分かる.




歳首月齢が分かると春分満月も一意に決まる. それがこの線図に赤字で書いたものである. 1600年の例でいえば, 歳首月齢が15だと春分満月が3月29日であり, その直後の日曜は右にドミノ文字を探せばよいわけである.

という次第で, finger calculationとはいうものの, 要はこの対応表だけであった.

西暦年から黄金数は簡単に分かるが, ある年のドミノ文字は西暦年の下2桁を28で割った剰余で表を引くのであろうか. その辺は何語かで書いてあるし, 鮮明さも欠くので, 想像するしかないようだ.

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