2015年3月12日木曜日

O'Beirneのキューブ

ネットで何かを調べていたら, 思いがけずO'Beirneのキューブ(O'Beirne's Cube)というのに出くわした.

O'Beirneの正しい読み方はよくは分らぬが, とりあえず「オベアーン」ということにしよう. 上のウェブページで動き続けている形はスクリーンショットをとると下の6枚のようになっている. 上左(I) → 上右(J) → 中左(K) → 中右(L) → 下左(M) → 下右(N) → と移り変って左上のIへ戻る.



目をこらして図を眺め, それぞれのサイズを見ると(奥行き, 幅, 高さの単位長は6,4,3なので)
  奥行きx  幅y  高さz
I6×2=124×3=123×4=12
J6×3=184×2=83×4=12
K6×4=244×2=83×3=9
L6×4=244×3=123×2=6
M6×3=184×4=163×2=6
N6×2=124×4=163×3=9
で体積は当然だがすべて1728になる. 移り変るにつれて, 奥行き, 幅, 高さのうち2つだけが±1変化し, 残りが不変で, Gray Codeみたいである.

しっかり分りたかったので, まず模型を作ることにした.

6種類のピースで出来ているが基本的には3種類の立体が必要で, そのそれぞれの展開図を下の図のように描き, 30センチ×40センチの工作用紙(30円)を使って4個ずつこしらえた.





これらは元々6×4×3の直方体を6の方向へ2倍(12×4×3になる. 上の写真左, 以下X), 4の方向へ2倍(6×8×3になる. 写真中, Y), 3の方向へ2倍(6×4×6になる. 写真右, Z)したものである. この2個ずつからA+, B+, C+, C-, B-, A-の6個のピースを作る. 下の写真の前列が左からA+, B+, C+, 後列がC-, B-, A-である.



写真では分り難いから, 図で示すとこうなる.



これらを積み重ねた下の写真の左側は上からA+, B+, C+, 右側は上からC–, B–, A–である. これを左右から合体させると最初の写真のIが出来る.



右のを少し奥にずらしてから合体させたのがJである.

模型をいろいろこねくりまわして, 移り変わりを描くことができた. 黒線はピースの境界. ジグザグの赤線は分割し, 1段ずらして再度合体させると次の図形に進む線だ. 青線は逆方向に回転する分割線. 6個のピースのすべてが見えているのが意外であった. 黒いジグザグ線も見えるが, これはその面の中心を通っていないから, ずらして合体しても直方体にならぬ. そもそも断面が向う側まで届いていない.



とにかくどう動くかは分った. 実にうまく出来ていると思った. Tom O'Beirneがどうしてこれに辿りついたかが, 次なる疑問だ.

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