2016年2月14日日曜日

菱形六十面体

2010年5月17日のこのブログの続きである. そこにはWolfram MathWorldのRhombic Hexecontahedronの項に 20 golden rhombohedra can be combined to form a solid rhombic hexecontahedron. と書いてあるのが気になっていて, そのrhombohedronの頂点の立体角を計算し, たしかに20個あると全立体角, 4πステラジアンになると書いた.

golden rhombohedra は菱形六面体とでも訳そうか, 6つの面が黄金菱形になっているものである.

Wolfram MathWorldのGolden Rhombohedronの項は, これには鋭角のものと鈍角のものがあるというが, ここで使うのは鋭角の方である. この項には1辺の長さaの鋭角黄金六面体の 体積は1/5√(10-2√5) a3とあり, また菱形六十面体の項にはその体積が4√(2(5+√5))a3とあるから, 体積的にも確かにそうである.

ざっと考えてみると, 菱形六十面体の母体である正十二面体には頂点が20あるから, 多分その頂点の数と菱形六面体が対応しているであろうと推察できるが, あまり自信はない.

昨今, 3Dプリンタが使えるようになったので, ちょっと作ってみようという気になった.



上の写真の上は20個の菱形六面体が出来たところ, 下はその5個を使い, 菱形六十面体の内, 正十二面体の一面に相当する面が完成した所である.

この写真では分らないが, 3Dプリンタで作ったものは, 存外 外面がざらざらで, 接着するのが大変であった. 次回はもっと時間がかかっても, もう少し精密な面にしてみたい.

さて, 次の5個で同様に正十二面体の反対側の面に相当する面も作る. この両方の5個組を北極と南極とすれば, 残りの10個で赤道に相当する部分を構成することになる.

それには10個の内2個ずつを接着して2個組を5組作り, それを一周するように繋げるのである. これは仲々面倒で, どの面とどの面が合さるのか, いろいろこねくり回さなければならない. まぁそうこうする内に固定出来た. 下の写真は接着中の写真で, 小型のクランプやしゃこ万力で押えているところである. 左に転がっている2個は北極と南極の5個組である.



出来上がった赤道部分のこのようである.



次の図はPostScriptで描いた, 菱形六十面体と上でいう北極, 赤道, 南極の図である. 手前右上から光が当っているように影を付けてみたが, 効果はいまいちであった.

全体
北極
赤道
南極

相対的な位置が分るように, 外接する正十二面体と, 中心を通るx,y,z軸も描いてある.

これで見ると20個すべての菱形六面体が中心に接しているのが分る. つまり赤道の組は中央が厚さ0である.

3Dプリンタで作ったモデルにはこのような精度は残念ながらない. でもこんな実験が出来るのも3Dプリンタのお蔭である.

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