2016年7月4日月曜日

プラニメーター

小学生の時, 算数の時間にいろいろな図形の面積の求め方を習った. その折, 先生から三角形とか台形とかではない複雑な図形の面積はどう求めるか聞かれた.

私の当然の答は方眼紙に写しとり, 図形内部の1ミリ方眼を数えることであった. もうひとつの答は, 厚紙に写しとり, 図形を切り抜いて重さを測り, それと同じになる矩形の厚紙を作り, その面積を求めるのであった.

後者の答は象の重さを測るのに, 象を船に乗せ, その時の吃水線の位置を船端に印し, 次に同じ吃水線に船が沈むまで小石を船の乗せてその小石の総重量を測るという中国の子供の話にヒントを得ていたかもしれない.

その後大学生くらいになって, プラニメーター(面積計)なるものがあることを知った. しかし, 自分で使う機会はなかった.

東大工学部計数工学科に勤めるようになった時, その学科では以前の学生実験でプラニメーターを使うものがあったと聞いたが, すでにプラニメー ターやタイガー計算機を使う実験はなくなっていた.

プラニメーターは機械式アナログ計算機である. プラニメーターの図は当今ではインターネットで探すといくらでも見付かる.

その一つが次である.

とあるページから借用させていただいた.



これは詳しくいうと Amsler polar planimeter という形式のものだ.

使い方は右上のOは下にピン, 上に重りのあるもので, 机のある場所に重りで固定する.

そして右下のAのピンで測りたい図形の周囲を一巡する. それに従い, 2本の腕は回転したり腕の間の角度を変たりしなが動く. 腕の蝶番BのあたりにCという車輪がみえるが, この車輪の軸はBAの腕に平行で, 特定の方向の回転だけを蓄積する.

すると不思議にも車輪の移動した長さにBAの腕の長さを乗じたものが面積になるのである. 長さ×長さだからディメンジョン的には合っている.

今回はプラニメーターの原理はかつ愛し, 最近プログラムしたプラニメーターのシミュレーターのことを書きたい.

そのプログラムは
http://www.iijlab.net/~ew/planimetersim.html
に置いてある. そこへ行くと



のような図が現れる. 左下のcircleをクリックすると, 今度は



のような図が現れる.

左端の赤の点が固定点(最初の図のO)で, 四角や円の上の青の点が図形をトレースする点(同A)である. その間の2本の線が, プラニメーターの2本の腕で, 折れ曲っているところが腕の蝶番(B)に対応する. 折れ曲りの近くの直交している線分が, 計測用の車輪の位置のつもりだが, その回転が左上のメーターみたいなもにに示される.

たとえば四角の図を表示している場合, 左下のstartをクリックすると, 青の点が移動し, 計測が始まる. 一周すると停止する. その時のメーターの読みは399.99になっている.



この図の四角は一辺が400の正方形で, プラニメーターの二の腕(BA)の長さも400になっている. メーターの読みが約400なので, それに腕の長さ400を乗ずると, 正方形の面積160000が得られる.

計測点Aの移動はプログラムで制御しているとはいえ, 凄い精度である.

次に円をやってみよう. 円は直径が400, 半径200なので, 面積はπ×200×200である.

それを腕の400で割ると, メーターの読みはπの100倍になるはずである. 実際にやってみると314.156が得られて安心する.



しかし, 手動でプラニメーターを操作すると, もちろんこんな精度は得られない. だからといって, 正方形の場合, 計測点を移動する際に物差しを当ててずらしてはならないと学生実験の手引書に注意がある. つまり線から一方に外れているとその誤差がそのまま集積されるからで, 手動でふらふら動かす方が誤差が左右に揺れてキャンセルされるので望ましいと書いてあった.

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